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東京高等裁判所 平成7年(ネ)4741号 判決

新潟県燕市大字燕五一九五番地

控訴人

株式会社森井

右代表者代表取締役

森井政行

右訴訟代理人弁護士

坂東克彦

右輔佐人弁理士

近藤彰

大阪府守口市佐太中町六丁目二三番四三号

被控訴人

清水産業株式会社

右代表者代表取締役

清水伸洋

右訴訟代理人弁護士

宇佐美貴史

右輔佐人弁理士

柳野隆生

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一  当事者の求めた裁判

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人は、原判決添付別紙物件目録(一)ないし(四)記載の各「電子レンジ用蒸し器」の製造及び販売をし、また、販売のために展示をしてはならない。

3  被控訴人は、その本店、営業所及び工場において占有する前項記載の各「電子レンジ用蒸し器」及びその半製品(部品として成形されたもの)を廃棄せよ。

4  被控訴人は、控訴人に対し、金一〇〇〇万円及びこれに対する平成三年八月二三日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。

5  訴訟費用は、第一、二審を通じて被控訴人の負担とする。

二  被控訴人

主文と同旨。

第二  当事者の主張

当事者の主張の要点は、次のとおり原判決に付加、訂正し、当審における当事者の主張を付加するほかは、原判決「事実及び理由」の「第二 事案の概要」記載のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決への付加、訂正

1  原判決三丁表三行目の次に行を改めて、次のとおり加える。

「イ号物品は二段構成であるが、このうちの一個の皿体、容器体、蓋体で構成される一段構成の部分が、ハ号物品であり、同様に、二段構成のロ号物品のうちの一段構成の部分が、ニ号物品である。」

2  同三丁表五行目の「被告物品」を、「被控訴人物品に係る意匠(被控訴人意匠)」と改め、同六行目の「ニ号物品」の後に、「に係る意匠(ハ号意匠及びニ号意匠)」を、同七行目冒頭の「物品」の後に、「に係る意匠(イ号意匠及びロ号意匠)」を、各加える。

二  控訴人

1  本件登録意匠の特定

(一) 皿体と容器体の嵌合構造について

意匠を出願する場合、分離することのできる部材で構成されている意匠については、必ず分離することができる旨を主張することが義務付けられているわけではなく、当該意匠に係る物品が備えている当然の機能から、その分離構成が客観的に導かれるものであれば十分である。本件登録意匠は、出願時に皿体と容器体の分離構造を特に主張していないが、意匠に係る物品が「電子レンジ用蒸し器」(以下「本件物品」という。)と明確に記載されており、切断面図の切断面においても皿体と容器体は異なるエッチング表現を用いている。したがって、その使用上の常識的な構成に基づいて判断すれば、上記のエッチング表現が、被控訴人の主張するような異質材の一体構成を意味するものではなく、別体構成を意味して分離可能な状態を表現したものであることは明らかである。

(二) 意匠上の透明について

登録出願願書に物品が透明であることの記載がないときは、登録を受けようとする意匠に「透明体」という特定条件を付さないものと解釈すべきであり、当該意匠に係る物品は、透明体、不透明体の限定を受けないものである。本件登録意匠は、その出願願書に物品が透明であることの記載がなく形状が構成要素とされているから、形状のみが特定された意匠であり、透明体、不透明体の限定を受けないものである。

控訴人が、本件登録意匠の出願審査の過程において、「開蓋状態の平面図」が不足するとの拒絶理由に対し、容器体の底面の蒸気孔の形状及び配列状態を開示する旨の補正を行ったのは、出願図面の断面図に容器体の底面の蒸気孔が記載されているので、その蒸気孔の形状を特定して意匠を明確にしたにすぎない。

意匠権の保護範囲は、形状、色彩、模様等が特定された登録意匠を中心にしたその類似範囲である。例えば、形状のみが特定された登録意匠に対して、当該意匠に色彩、模様等を付加して非類似の別意匠が成立した場合、当該別意匠は、形状のみが特定された意匠の保護範囲に含まれるものであり、当該別意匠が非類似であって登録された場合でも、その利用関係の成立を認めて登録意匠の保護が図られる。

したがって、本件登録意匠の蓋体を不透明に特定することで、被控訴人により意匠登録されたイ号意匠、ロ号意匠及びニ号意匠と本件登録意匠とが、仮に、非類似になったとしても、その形状が本件登録意匠と類似する場合には、本件登録意匠を利用することになり権利侵害が成立する。被控訴人の右各意匠登録は、本件侵害訴訟には何ら影響を与えるものではなく、被控訴人の侵害行為を否定する根拠となりえない。

2  本件登録意匠の要部認定

意匠権者が、その意匠権を実質的に享受するのは、当該登録意匠の実施品が購買者によって購入され、その反射的効果としての経済的利益を得るときである。そうすると、登録意匠の要部認定に際しては、当然、購入時の購入者の視点が基準となり、購入時に想定される物品の使用状態が重要となる。

本件物品の使用者は一般消費者であるが、これらの者が購入時に物品の外観から第一に認識するのは、皿体、容器体、蓋体の各部材全体のバランス構成であり、使い易さである。そして、物品における取っ手の形状や蓋体の摘み形状は、現実の使用時に直接手の触れる箇所ではあるが、その具体的、詳細な形状よりも、皿体に半円状の摘みが存在し、蓋体に凹没形状の摘みが存在することが、使い勝手の面から購買者にアピールする箇所である。

すなわち、本件登録意匠の要部は、「やや偏平な皿状にして上縁に取っ手が張り出した平面視円形の皿体上に、皿体の約二倍の高さにして底面に蒸気孔を多数設けて平面視円形の容器体を載置(嵌合連結)され、この容器体の約六〇%程度の高さで上部へ膨出し、かつ、上部に摘みを設けた蓋体を容器体に被冠した全体の態様」として示される物品全体の基本的構成態様に存し、原判決のように取っ手や摘みの具体的、詳細な形状を意匠の要部とすることは、物品購入時の使用者の視点を無視し、現実の使用状態のみを想定しているものであって、誤りである。

3  本件登録意匠とハ号意匠及びニ号意匠との類似

原判決は、本件登録意匠の要部の認定を誤り、物品全体の基本的構成態様における共通点を見落とし、意匠全体からみると微差にすぎない物品の部分的箇所に注目し、この部分的形態の相違点を評価して類似判断をなしている。

例えば、物品全体の基本的構成態様の比較のために、本件物品に関しでの先行意匠である登録五五二七九二意匠(乙第六号証の三六)と、本件登録意匠並びにハ号意匠及びニ号意匠とを対比すると、その正面視及び断面図において、本件登録意匠とハ号意匠及びニ号意匠の意匠全体の共通性が明確である。

原判決が、本件登録意匠とハ号意匠との類似判断の根拠として挙げた事項は次のとおりである。

〈1〉 蓋体の正面視の肩部分の相違による印象の相違

〈2〉 蓋体の透明による蒸気孔の看取可能の相違

〈3〉 蓋体表面に設けた一対の凹状摘み部の表面形状の相違

〈4〉 皿体側面の正面視形状の相違

〈5〉 取っ手部の平面視形状の相違(ニ号意匠は、取っ手部の数も相違する。)

〈6〉 ニ号意匠の意匠登録

このうち〈2〉及び〈6〉は、意匠の類否判断に際して、その根拠とすべき事項ではない。

すなわち、〈2〉について、原判決は、本件登録意匠の蓋体が透明、不透明の特定をされていない意匠であると認定しており、本件登録意匠は形状のみが特定された意匠であるから、この点を類否判断の理由とすべきではない。

また、〈6〉について、本件登録意匠の意匠の創作性を判断するに際しては、登録出願以後に発生した事項を類否判断の根拠にするべきではないにもかかわらず、原判決は、本件登録意匠の登録出願の後に出願されたニ号意匠の登録意匠を、類否判断の根拠としており、違法である。

控訴人は、本件登録意匠の蓋体を透明にした意匠及び皿体の取っ手部を四個にした意匠を、本件登録意匠の類似意匠として出願し、登録査定された(甲第四三、第四四号証)。したがって、蓋体の透明の有無及び皿体の取っ手部の数の相違は、意匠の類否判断を左右する程度のものではないとの特許庁の見解が示されたものと推測され、前記の〈2〉及び〈5〉の相違は、意匠の類否判断を左右する程度のものではないといえる。

以上のことからすると、本件では、前記の〈1〉、〈3〉及び〈4〉の相違が意匠類否の重要な判断事項となるが、このうち〈1〉及び〈3〉は蓋体に関するものである。一般に意匠の実施である現実の物品では、透明体であるとその形状把握はより困難となり、その分だけ形状の相違感が弱められるはずであるが、ハ号意匠及びニ号意匠においても、その蓋体が透明体であることにより、蓋体の形状に基づく看者への視覚的刺激は蓋体が非透明体である場合よりも弱められる。したがって、この点に関する本件登録意匠との相違は微弱なものとなり、原判決の類否判断は誤ったものというべきである。

4  本件登録意匠とイ号意匠及びロ号意匠との類似並びに意匠権侵害

被控訴人は、二段構成のイ号物品及びロ号物品を製造販売していたものであるが、両物品は一段使用も可能であり、実質的にみればハ号物品及びニ号物品を製造販売していることになる。そして、イ号意匠及びロ号意匠の積層上方部分の皿体、容器体、蓋体の構成は、そのまま本件登録意匠と類似するハ号意匠及びニ号意匠になるものであるから、イ号物品及びロ号物品の製造販売行為は、本件登録意匠を利用する行為として、本件登録意匠権を侵害するものである。

三  被控訴人

1  本件登録意匠の特定

(一) 皿体と容器体の嵌合構造について

意匠法施行規則(平成五年通商産業省令第七五号による改正前のもの、以下同じ。)二条所定の願書に添付すべき図面の様式第五の備考欄14は、出願人により、願書及び添付図面のいずれかで、構成部分が分離可能であることが主張されていることを前提としており、分離できる物品に係る意匠の出願であっても、組み合わされた状態の図面から各構成部分の形状等が明らかな場合には、各構成部分についての図面を必要とせず、組み合わされたままではその意匠を十分に表現することができないものについてのみ、各構成部分の図面を必要とする趣旨である。したがって、分離可能なものであっても、必ずしも分離可能であることの意思表示を必要としないという趣旨ではない。

本件登録意匠では、容器体と皿体が分離される構成であることを、出願願書の記載及び添付図面のいずれにおいても出願人が主張していない。また、添付図面において互いに異なる方向のエッチングを用いたとしても、このエッチングを記入した部品の材質が異なることを表す場合もあり、必ずしも別体のものを示すとは限らない。以上のことは、容器体と皿体が分離不可能であることを意味するものである。

控訴人は、皿体と容器体は当然分離できると主張するが、本件物品では、皿体と容器体が固着された状態であっても容器体の蒸気孔から水を入れることができるのであるから、出願人の意思表示がないのに、水のみを入れる皿体と容器体が必ず分離できるとするのは不自然である。

(二) 蓋体の透明性について

意匠法六条八項、同法施行規則一条(願書についての様式第一)の規定によれば、意匠に係る物品の全部又は一部が透明であるときは、その旨を願書に記載しなければならないところ、本件登録意匠の願書には、物品が透明であることの記載はないから、本件登録意匠の蓋体は、不透明に限定されている。しかも、願書に透明である旨がいずれも記載されていない蓋体、容器体、皿体のうち、蓋体についてのみその透明性を議論すること自体が、誤った考えである。

また、出願時の願書の記載及び添付図面に透明についての記載がなく、特許庁での審査過程における手続補正命令で開蓋状態の平面図の添付を指示され、出願人が、手続補正書において、開蓋状態の平面図にて容器体の底板に設けた蒸気孔の形状と配列状態を開示したが、特許庁がかかる補正を要旨変更として補正却下をしなかったのは、蓋体を不透明であると判断し、あくまでも権利範囲には関係ないと認めたからにほかならない。出願時の断面図からだけでは、様々な形状の蒸気孔が想定でき、補正書の開蓋状態の平面図はその一例にすぎないにもかかわらず、蓋体が透明、不透明の限定を受けないとするのは、出願時に開示されていない意匠までも権利範囲に含まれることになり、不合理である。

仮に、蓋体が、透明、不透明の限定を受けないと解するとしても、本件登録意匠は蓋体の形状のみを表現しており、それが透明である場合に蓋体表面に現れる蒸気孔等で形成される模様までも意匠の権利範囲に含まれるとするのは、出願時を基準にする先願主義に反するものである。

2  本件登録意匠の要部認定

本件登録意匠の基本的な構成態様は、控訴人が本件物品に関しての先行意匠であると主張する登録五五二七九二意匠(乙第六号証の三六)でも示されるように、国内の古典的蒸し器の基調を踏襲したものにすぎないのである。蒸し器が、蓋体、容器体、皿体を複数段に積層した構成を有するのは、蒸気を下方から上方に向けて立ち上げて食品を蒸すという基本的な機能に由来するものであり、皿体の大きさや容器体の基本的な形状、蓋体の着脱のし易さなどは、需要者が注目するに値するものではない。

本件物品を電子レンジに収納して蒸し器として使用する状態を想定すると、原判決の述べるとおり、物品の正面視及び平面視からの観察頻度が高いことは明らかであるから、それに現れる具体的形状が要部であり、これに基づいて本件登録意匠の類否を判断すべきである。

3  本件登録意匠とハ号意匠及びニ号意匠との類否

ハ号意匠及びニ号意匠は、原判決の述べるとおり、正面視及び平面視において全体をみれば共に円形状を基調とした一体的連続性があり、丸ぐ優しい印象が看者の注意を喚起する。これに対し、本件登録意匠は、正面視において全体として偏平でそれぞれに区画された矩形状を基調とした区画状の不連続性を表し、角張った硬い印象とともに安定感が看者の注意を喚起し、平面視においては全体が円形の基調を有しながら、蓋体全体形状と取っ手部形状及び摘み部形状のそれぞれが独立性を表すことになる。

したがって、本件登録意匠とハ号意匠及びニ号意匠は、蓋体の透明を論ずる以前に、相紛れることのない非類似の意匠である。しかも、ハ号意匠及びニ号意匠の蓋体が透明であることにより、容器体底板のハ字形蒸気長溝を看取できることになるので、本件登録意匠とハ号意匠及びニ号意匠は、全く異なった意匠となるのである。

被控訴人は、ニ号意匠について意匠登録出願を行ったところ、特許庁は、本件登録意匠等の公知文献に基づいて、類似範囲も含めて、新規性、先後願等の登録要件を判断した結果、意匠権を付与したのであるから、本件登録意匠との関係で侵害が生じるはずがない。

4  本件登録意匠とイ号意匠及びロ号意匠との類否並びに意匠権侵害

以上のように、本件登録意匠と一段構成のハ号意匠及びニ号意匠とが非類似である以上、本件登録意匠と被控訴人が意匠登録を得ている二段構成のイ号意匠及びロ号意匠との間で利用関係を論ずるまでもない。

第三  証拠

原審及び当審における記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないものと判断する。

その理由は、次のとおり訂正、付加、削除するほかは、原判決の「事実及び理由」の「第三 争点に対する判断」と同じであるから、これを引用する。

なお、原判決引用部分中の「被告物品」は「被控訴人意匠」と、「イ号物品」、「ロ号物品」、「ハ号物品」、「ニ号物品」の各「物品」は、いずれも「意匠」と各読み替える。

1  原判決七丁表一行目冒頭から六行目末尾までを、次のとおりに改める。

「意匠法六条八項には、「第一項の規定により提出する図面に意匠を記載し、・・・その意匠に係る物品の全部又は一部が透明であるときは、その旨を願書に記載しなければならない。」と規定され、これを受けた同法施行規則一条所定の願書の様式第一の備考欄24には、「意匠法第六条第八項に規定する場合は、「意匠の説明」の欄に同項の規定により記載すべき事項を記載する。」と、同法施行規則二条所定の願書に添付すべき図面の様式第五の備考欄18には、「物品の全部又は一部が透明である意匠の図面は、次の要領により作成する。イ 外周が無色かつ無模様の場合は、透けて見える部分はそのまま表す。・・・」と規定される。

これらの規定によれば、意匠に係る物品の全部又は一部が透明であるときは、その旨を願書及び添付図面に記載しなければならないところ、本件登録意匠の願書には、物品が透明であることの記載はなく、添付図面の平面図にも透けて見える部分として蒸気孔等は記載されていないから、本件登録意匠の蓋体が透明なものとは認められない。」

2  同一一丁表一〇行目の次に行を改めて、次のとおり加える。

「これに対し、本件登録意匠における蓋体、容器体、皿体を複数段に積層した基本的構成は、水を加熱して発生した蒸気を下方から上方に向けて立ち上げ、食品を蒸すという蒸し器の基本的な機能に由来するものであるから、この種物品の基本的構成態様として一般的なものであり、意匠の類否判断に及ぼす影響は軽微なものというべきである。」

3  同一二丁表三行目の「透明に限定されない」を「透明ではない」に改め、同丁裏九行目の「及び」から同一〇行目の「登録されたこと」を削る。

4  同一三丁裏二行目の「加えて」から同三行目の「考えると、」までを、次のとおりに改める。

「すなわち、前示(2)ないし(5)の相違点により、本件登録意匠は、その正面から見た外観において、全体が偏平な短矩形状を基調とした直線的な硬い印象を与え、前示(6)の相違点により、その上方から見た外観においても、正面から見た外観が与える直線的な硬い印象に適合するものとなっているのに対し、ハ号意匠及びニ号意匠は、その正面から見た外観においても、その上方から見た外観においても、全体が円形状を基調とした丸く優しい印象を与えるものとなっているのであって、」

5  同一三丁裏七行目冒頭から一四丁裏三行目末尾までを削り、同四行目冒頭の「(二)」を「(一)」と、一五丁裏六行目冒頭の「(三)」を「(二)」と、各改める。

6  同一五丁表八行目の「外観であること」を、「外観であり、本件登録意匠における蓋体、容器体、皿体を複数段に積層した基本的構成が意匠の類否判断に及ぼす影響は軽微なものであることは」と改める。

二  当審における、本件登録意匠と被控訴人意匠との類似並びにイ号意匠及びロ号意匠が本件登録意匠の利用による権利侵害であるとの控訴人の主張は、原審における主張の範囲を実質的に出るものではなく、それらがいずれも採用できないことは、右に説示したところに照らして明らかといわなければならない。

三  以上によれば、控訴人の本訴請求は理由がなく、これを棄却した原判決は正当であり、控訴人の本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 芝田俊文 裁判官 清水節)

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